読書『V字回復の経営/三枝匡』
ITストラテジストに興味を持ち色々と調べていた所、あるサイトで「試験対策として、まずこの本を読むといい」と薦められているのを目にした。いわゆる試験対策本よりも、このようなストーリー仕立ての本の方が頭に入ってくるし取っ付きやすいので、本書を試験対策の1冊目として手に取ってみた。
自分は、ストラテジー(=経営)戦略とは何なのか、全くわかっていない。一体、戦略とは何なのであろうか。本のタイトルから推測すると「経営がV字回復した」ということだから、「(悪い)状況を良くすること」だと推測される。それでは、悪い状況は、どうやったら改善ことができるのだろうか。
改革の流れ
まず、具体的な経営戦略適用の流れ(=全体像)を見ていく。本書によると、改革の流れは以下の通りである
- 期待のシナリオ(ビジョン、理想像)を持つ(★)
- 成り行きのシナリオを描く:このまま行くと(成り行きに任せると)事業はどうなるかを描き出す。現実直視をするということ。
- 切迫感を共有する:人為的にトップダウンで、危機感・反省を作り出し共有する。
- 原因分析:なぜこんな事になったのか、どんな手を打てばこの状況を打開できるのかを分析する(★)
- 改革シナリオ(戦略)を描き出す(★)
- 決断:改革シナリオの実行を決断する。
- 現場への落とし込み:実際に改革シナリオが現場で実行される(できる)ように、具現化、緻密な落とし込みを行う。政治的軋轢を処理する。
- 実行:スピード感を持って、各々改革シナリオを実行する。
- 成果の確認:成果を確認し、達成感を得て、次への活力とする。
全体像は以上の通りである。これにより、改革の流れは理解することができた。しかし、実際にこれを遂行するためには、上記(★)に関する戦略と、リーダーシップについてもっと詳しく知る必要がある。以下、この点につき、本書でわかる範囲でまとめていきたい。
戦略の策定
以下、戦略の策定について「ビジョンの確立」「原因分析」「戦略の創出」の3点から掘り下げていく。
「ビジョンの確立」
ここ1~2年強く感じているのだが、上に立つものは、「こうあるべき」という明確なビジョン(理想像)を持っていなければならない。ビジョンを持つためには、「自(組織)と他(組織)を比較して、他者のいい面を知って取り入れる」というのが、手っ取り早くて効果的である。しかし、現状ではなかなか他の情報を得る機会がない。他の情報を仕入れられるチャネルを作る方法がないか、調査をしたい(課題1)。
「原因分析」
戦略を立てるためには、まず何が悪いのか現状を把握しなければいけない。本書では、タスクフォースのメンバーでブレインストーミングを行い、500枚の付箋に現状を書き出して、問題点を抽出した。問題点の洗い出しについては色々な手法があると思うので、学んでいきたい(課題2)。
「戦略の創出」
本書での戦略は「開発-生産-営業-顧客までの距離が短くなる、シンプルな体制を作る」ことである。シンプルにすることで、スピードが早くなる。また、無理なく現実的に実行することができる。さらに、やっていることが可視化・透明化されるので、損益がはっきり見える。この1枚の絵(ビジョン)を社員全員で共有して改革を進めるのである。とりうる戦略は、抱えている問題の原因によって異なってくる。戦略の創出も原因分析同様、手法をもっと学んだ方が良い(課題3)。しかし、シンプルというのは非常に強いものであるということを、昔から感じている。
以上、戦略の策定についてみてきた。次に、戦略を実際行動に移す際のリーダーシップについて見ていきたい。
リーダーに必要な資質
改革を引っ張るリーダーに求められる資質は何か。この本を読んで感じたのは、①情熱、②論理力、③コミュニケーション能力、そして④パワーである。人を動かすには、この4つの能力を、高次元でバランスよく持っていなければいけない。
今回この本を読んでいて、特にパワーの大切さを感じた。改革を遂行する際には、怒る必要がある場面も出てくるだろうが、貫禄が無いと揶揄の対象となったり、無視されたり、反旗を翻される可能性がある。やはり、ある程度、体を鍛えておくに越したことはない(課題4)。また、論理力についても同様である。論理武装するうえで数字は強力な武器となるが、自分は数字力が弱いため、その点についても合わせて勉強をしていきたい(課題5)。
一方今まで、体つきに貫禄はないが、強いリーダーシップを持っていた人もいた。彼らに共通することは、知的に巨大という共通点があった。どちらにせよ、日々自分を鍛えなければいけない。
まとめ
経営戦略とは何なのか、その全体像が単なる知識としてではなく、ストーリーとして頭に入った。経営戦略者が経営全体を見るとして、ITストラテジストの役割は何なのだろう。手法を含め、これからもっと具体的な内容を学んでいくべきである。
自分の置かれている状況を考えると、非営利団体は事業を潰せない。人も切れないため、思い切った改革はなかなか難しい。そもそも利益を目的としていないので、経営戦略は不要とも考えられる。確かに、事業内容によっては利潤の追求は馴染まないと言えるかもしれない。しかし、赤字切り、サービス向上はどの事業でも必要である。また、注目されている団体が行おうとしていることは経営戦略をベースに考えられていると考えられる。「経営の面白さ」「経営の創意工夫」に生き甲斐を見いだせるよう、引き続き経営戦略について勉強をしていきたい。
今後の課題
- (課題1)他の情報を得る方法を研究する
- (課題2)原因分析手法を学ぶ
- (課題3)戦略を学ぶ
- (課題4)体を鍛え貫録をつける
- (課題5)数字力を鍛える